耳から不思議な虫を出せるという手品師に会いに行った。
その人の目はらんらんと輝いていて綺麗だった。
僕が「あんたは綺麗な瞳をしているね」と手品師に言うと
その手品師は「アッパー系のヤクやってるからね」と言った。
僕は余計なことを言わなきゃよかったと後悔した。
「じゃあ、手品を見せるよ」と言って
手品師は耳から気味の悪い虫をニョキニョキと出してみせた。
実際に見ると、すごいというより不気味という感じだった。
「これ、なんていう虫なの」と僕が聞くと
手品師は「虫に聞いてくれよ」と言った。
僕が虫に話しかけると、虫は僕を食べようとしてきた。
「今、機嫌が悪いみたい」と手品師は言った。